今や私のあらゆる作業は完全にワークステーションに移ってしま った。大分前からほとんどの作業を一つの環境である Sun ワークス テーションの上に移植して使うようになっていたのだが、それでも まだ時々は PC-98 の電源を入れざるを得ないことがあった。そして 最近はそれもなくなったというわけである。
PC-98 のお世話になるのでもっとも多いのがワープロだったが、 これは NEmacs と、その上で走る Lisp による簡易日本語ワープロ を使うようになって、ほとんど必要がなくなった(この原稿もこれ で書いている)。もうひとつ時々はお世話にならざるを得なかった のが、スプレッドシートであった(古いマルチプランを使っていた )が、これも Sun の上で走るPDS のスプレッドシートが手に入って ついに必要なくなってしまった。
これは UNIX ネットワークを流れてきた PDS で、Spreadsheet C alculator を略して sc という名前のものである。ソースを見ると オリジナルは James Gosling とある。James Goslingといえば確か Emacs の Gosling 版?を作った人と記憶しているが、さすが彼が 作ったものだけあってシンプルだが、たいそう軽快で使い勝手が良 い。素人向けではなく、いかにも UNIX ユーザ用のツールという感 じだがそこが気に入っている。
カーソル移動コマンドは vi や Emacs のモードのいずれをもサポ ートしていて、それらと同じ感覚でカーソルを移動できる。実際カ ーソル移動はもっとも頻繁に使用するコマンドなので、同じに使え るということは使い勝手の上で大変重要なことである。
ワープロにせよ、スプレッドシートにせよ、ワークステーション という一つの環境の中で使えるというのは大変具合が良い。 さらに同じ環境を追及するなら、スプレッドシートも NEmacsの中 で動くともっと具合が良いので、NEmacs をターミナル・エミュレー タ・モードにして、その中で sc を走らせてみたが、やはりこれで はトロくてどうしようもない。
UNIXの端末として使うのは別として、これで完全に PC-98自体の お世話になることはなくなりそうである。
あと、時々 Sun を離れてお世話になることがあるとすれば、Mac である。OHP の原稿や図を書くにはマックペイントが一番快適であ るから、、、
本来 Sun はこのようなことを行う能力を十分持っているので、ど こかで Sun の上で快適に使えるマックペイントを提供してくれない かな、と思っている。おそらく米国には必ずあると思うのだが。
欲を言えばきりがないのだが、前述の簡易日本語ワープロも完全 に満足が行くというものではない。やはり一太郎クラスのワープロ が Sun の上で走って欲しい(現在 Sun 上の日本語フロントエンド としてもっとも好評の Wnn はまだ手に入れていない)。
具体的に WS 上に何が載っているかというと、まず仕事用のアプ リケーションとして、給与計算、看護婦勤務表の自動作成、当院で 出産予定の産婦さんの管理(顧客管理のようなもの)、妊娠暦(分 娩予定日や現在の妊娠週数などを簡単に計算するツール)など。 小道具としては、電卓、スケジュール表、住所録、メモ帳、電子メ ールなど、要するに今流行のシステム手帳そのものである。ワーク ステーションは私の机であり、ファイルボックス、メールボックス 、文房具、秘書、その他、今やなくてはならない小道具でありパー トナーとなっている。
最近、4名ほどであるプロジェクトを開始することになった。 メンバーが遠方にすんでいたり、それぞれに多忙だったりするので 、実際にメンバーが集まってデイスカッションするのは月に1,2 度で、その他はすべてネットワークによる電子メールで処理してい る。Aの手紙の内容の一部を引用して、Bがそれに意見を追加し、そ れをさらにCが引用して意見を加えるなど。実際の会議に比べ内用 がコンパクトに整理され、かえって良い。
その一面、メールを読んでコメントを返すのは、結構時間がかか って大変という面もある。報告書などはメールの形で送っておけば 、相手の方でも必要に応じて保存したり加工したりできる。
人間の欲はきりがない。これだけ便利になっても、まだまだ足り ないものはいくらでも湧いてくる。
ワークステーションのウインドウのひとつがTVの画面になったら 良いなとか(書斎の Sun の隣りには PC-98のでイスプレイが置いて あるが、これはスイッチひとつでTV受像機になるやつで、最近は夜 など Sun の上で仕事をしながら、もっぱらこちらはTVをつけておい てのナガラ族となった)。FAXの受信ができないかなとか(これも最 近はできるものが出始めている)、Mac の HyperCard が載らないか なとか(Mac II の A/UX に期待している)、電話回線を使ってリモ ートマシンに NFSできないかな(大変あぶない発想)とか、、、
というわけで、今やPC-98ときたら本体は机の下に押しやられ、 デ イスプレイはただのTV受像機となりはてている。しかし、これを放 置してただのガラクタにしてしまうのは忍びない(これらの電子機 器というヤツは、しばらく電源を入れないで置いておくと駄目にな ってしまうことが多い)ので、前にも書いたようにダイレクトにイ ーサネットへ接続して、そのフロッピーデイスクを Sun の細かいフ ァイル保存に利用するなどの活用を考えている。
そこでPC-98用のイーサボード、イーサネット・トランシーバなど 一式を注文し、2,3日前に届いた。トランシーバをイーサネット ・ケーブルに接続するにはケーブルに穴を開ける専用工具が必要と のことだが、その工具が2万円ほどする。今後多くのサイトを回っ てイーサネット接続サービスでもするなら別だが、ただ1回や2回 のためだけにそれを購入するわけにもいかない。
まあ要するに同軸ケーブルをショートさせないように穴を開けれ ば良いのだろうと勝手に納得して、大工道具箱にあったキリでトラ イすることにした。結論を言うと、穴開けは成功したのだが、その 後あーでもない、こーどもないといじっているうちに、開けた穴に 挿入するタップの先をつぶしてしまったというお粗末で、現在タッ プを再注文している。次号あたりにその印象をレポートできるかも 知れない。
イーサネットにうまく繋がったら、PC-NFSを使って PC-98の方か ら Sun のハードデイスクをあたかもPC のデイスクのようにマウン トして使うことができるようになる予定である。