Xウインドーを使ってみたいと、かねがね思っていたのだがデイスクの容量 がなくあきらめていた。ところがこのたびJUSからX11R4のテープ配布 が受けられるという知らせを受けて、何とか載せてみたいということになった。
早速配布申込をしてテープが届いたので、SUNの中をありったけNeXT のMOデイスクに落し、何とか100メガの場所を確保した。 とにかくでかいソースなので「果たしてすんなりインストールできるのかし らん」と思いつつ、テープに入ってきたマニュアルと首っぴきでインストール にとりかかる。
幾つかのファイルを指定どおりに修正し、いざmake! 「SUN-4では、40分くらいで終了するが、あなたのマシーンではどの 位かかるでしょう」とある。私のSUNは今となっては生産も中止となったS UN-3/50で、メモリーも4Mしか載せていないやつだから、結構かかる に違いないが、まあ、4時間位かなと思って待つこと暫し、、、
あれ、あれ、あれ? エラーメッセージがバラバラ出てくる。しばらくその ままにしていたが、やはり気になって一旦コンパイル中止。 エラーメッセージの出た部分を修正して、再度make!
3時間たっても4時間たってもコンパイルは終らない。もう午前3時を回り 眠くなってきた。「しっかり仕事をせいよ」と言い聞かせ、こちらは「おやす みなさい」である。朝になっても、まだデイスクはカラカラせわしく回ってコ ンパイルしている。昼に仕事から帰ってみるとようやくmakeは終了してい た。makeに要した時間は何と9時間以上。
「よう働いた、よう働いた」とmakeのログをチェックしてみると、ゲロ ゲロ、、、またエラーメッセージが混ざっている。メッセージを見ながら又関 連ファイルを修正。そして、一晩、make、「歴史は夜作られる」なんての があったなあ、と脈絡のないことを考えながら、、、 ようやく3日目にXのインストールに成功し、憧れのXが立ち上がった時の 感激の一瞬!
インストールに際し、エラーへの対応は比較的容易だったのだが、何せうち のマシーンには負担が重いようで、これについては後述のように、また泣かさ れることになる。
しかし、これだけでは日本語環境で使えないので、次の日は日本語ターミナ ルであるktermのインストールにとりかかる。こちらは、そう大きくない のでコンパイルに要する時間はたいしたことはないが、やはりコンパイルがス ンナリは通らず、対応するために結局X自体のインストールをやり直すはめに なった。またまた、魔の9時間余、、、
かくして現在、こうしてXの中のNemacsで原稿を書いている訳だが、 X11に標準でサポートされている日本語フォントは、今まで使っていたJN IXのフォントより小さい。
これは、「古くなって輝度を最高に上げてもねぼけ気味のデイスプレイ」と 「古くなって視力の落ちてきた私」との組合せでは、必ずしも快適な環境とは 言い難いのだが、何せ「畳と、何とかは新しい方がいい」ということで、その 中で楽しく暮らしている今日この頃である。 18ポイント以上の日本語フォントが欲しいところだが、どうも中を捜して みた所では標準でサポートされてなさそうだ。
ウインドーの使い勝手はMacに似て、なかなかよろしい。 ウインドーのリサイズなどSunViewよりずっと使い易いし、ポップアッ プメニューも好きなようにセットできるのも嬉しい。 SunViewに無かった機能で便利しているのは、スクリーンセイバーで ある。これは一定時間キーボードやマウスから入力が無いとスクリーンを暗く するもので、NeXTなどには標準で備わっている。
うちのマシーンはどれも24時間電源を落すことはないがデイスプレーの焼 き付き防止に、使わない時はデイスプレイだけ電源を切る。これも必要無くなっ た。放っておけば自然に画面は暗くなり、ちょっとマウスやキーに触れれば、 「待ってましたご主人様」と画面が明るくなる。
マシーンの負荷の状態を示す「xload」や「時計」などは、SunVi ewの方が優れているが、Xの時計はチャイムというパラメータを指定して立 ち上げると30分毎にピッとベルが鳴るのは便利である。 このようにソースごと提供されるシステムではサンプルが沢山あるので、X の上にアプリケーションを作ってみようとする場合は大変重宝する。
SunViewはメーカサポートだけあって、ウインドーシステム自体が死 んでしまうことは殆ど無かったが、Xではちょいちょいお亡くなり(本職の産 婦人科では絶対に避けたい言葉。ま、コンピュータの世界でも決して歓迎はさ れないが、、、)になるのが困った現象である。Nemacsで編集をしてい て、マウスカーソルを他ウインドーへ移そうとしたとたん死んでしまうことが 多い。これもメモリーの少なさに起因しているのだろうか。
Xを使い始めて数日目に、仕事に使っているマシーンのハードデイスクフォー マットが壊れてしまい、これを機会にOSのバージョンを3.3から4.0. 3に上げることにした。
マニュアルを頼りにアップグレードにとりかかったが、バージョン3に比べ、 大分インストールは楽になった気がする。しかし、実際にはX11のインストー ル同様、些細なことで何度もインストールをやり直すことになり、又もや徹夜 に近い作業を2日に渡って行なうことになった。 このように同じことを何度も繰り返すと、デイストリビューションテープを 読み込む間にマニュアルをなめるように読みながら手順を繰り返すので、OS の基本的部分を理解するには大変良い勉強になる。
3日ほどでインストールとセットアップを終了し、Xを立ち上げてみる。勿 論何の問題も無く立ち上ったが、いざその中でktermとNemacsを使っ てみると、非常にレスポンスがトロくて、この上で仕事をするには、ただ忍耐 と根性あるのみである、殆ど仕事にならないと言っていい。 OS4.0ではメモリーを非常に食い、4メガしか積んでいないSUNでは 遅くて使いものにならないのではないかと聞いていたが、まさにしかりである。 通常の使い方ではさほど感じないが、X+Nemacsという使い方では殆ど ダメ。
ここでNemacsを使うと、デイスクはしょっちゅうカラカラとせわしく 動いている。大きなメモリーを要する仕事を小さなメモリーに押し付けるため、 頻繁にスワップを繰り返しているものと見える。 SparcStationなどでは非常に安く簡単にメモリー拡張ができる ようだが、sun-3/50の場合、拡張にはえらく金がかかるのが悩みであ る。 Xになると、やはりスパーク位のパワーが必要だなあ、、、
ということで、今月前半はX11とOSのインストールにハマってしまい、 原稿も遅れてしまった。編集部の皆さんごめんなさい。