先月号に書いたように、NeXTがうちの「わーくすてーしょん」の戦列に 加わったのだが、さて、そのディスプレイの置き場所に困った。現在は、机 (これが何とファイルボックス2つの上に戸板を渡したものだが、結構広くて 丈夫で便利をしている)の上に、Sun、Mac、PC-98のディスプレイ が載っている。
PC-98は最近使う機会が極めて少ないが、そのマルチ・スキャン・ディ スプレイは、もっぱらTV受像機として使われ、Sunで開発をしながら横目 でTVを見るという具合である。
ま、それはさておき、ここにNeXTを置かなければならないので大変であ る。どれか一つを追い出せば良いのだが、どれもそれなりに机の上で使いたい (TV観賞用の98を含めて)。
無理やりディスプレイを並べて置いてみたが、CRT同士が干渉してしまい、 画面がユラユラして仕事をしていると酔って気持ちが悪くなってしまう。そこ で、あれやこれやと並べ方を変えてみて、ようやく干渉の少ない配列を得るこ とができた。左から、98、NeXT、Mac、Sunという順で、お陰で机 の上に立ててあった本や書類を一掃せざるを得なくなってしまったが、ディス プレイが4台並んでいるのは壮観である。
ディスプレイと同様場所をとるのがキー・ボードだが、殆ど使うことの少な い98のキー・ボードは普段はディスプレイの上に避難せざるを得ない。 我が家の「最古のマック」のキー・ボードは、幸いテンキー無しのコンパク トなやつなので机上の存在を許されている。
そんなに色々なものをそばに置いておいても使わないだろうと言われそうだ が、98を除いては結構それなりに使っている。まず旗艦であるSunは、今 もこうして原稿を書いているが、最もよく使うマシーンである。
次にNeXTであるが、まだ日本語が使えるようになるのに一年位かかりそ うで、ここが弱いところだが、UNIXのコマンドをいじるだけで済んでしま う作業などは、こちらを使ったりする。そうそう、NeXTのデイレクトリー・ ブラウザーはデイレクトリーの中を渡り歩くには大変便利なツールで、場合に よってはSunの中のものを捜すにも、SunのデイレクトリーをNeXTに NFSでマウントしておいてNeXT側からこのブラウザーを使って捜すと便 利である。
日本語が使えるようになったら、まずNeXTが旗艦になるだろう。 そして、その真ん中に割って入るかたちで鎮座ましますMacでは、今だに 完成しない医師会の経理システムの開発をコツコツとやっているところである。 こいつもいずれはイーサに接続して本格的に艦隊入りをさせたいが、現在のと ころはスタンドアローンで、その他のNeXTや98はいずれもマルチポート トランシーバを経て、Sunのイーサに接続されている。
机の下を覗くと、それらを接続するマルチポートトランシーバやリピータの ランプがデータの流れを反映してクリスマスツリーのように時々まばたいてい るのが見える。
以上が主力艦隊だが、その他に戦艦「三笠」のようにコンクリートで固定こ そされていないものの、完全にCPUの稼働しなくなった、「PET-200 1」が棚の上に飾られている。
そうそう、長いこと親戚に貸し出していた「Apple II」が数年振り に返却されてきた。ホコリの具合から見ると、PET同様長いこと使われなかっ たようなので、きっと動かないのではと思い、これまた古びてしまったシステ ムフロッピーを取り出してスタートさせてみると、カタカタカタッという音を させてデイスクドライブが回転し、懐かしいUCSD Pascalがちゃん と立ち上がった。
しかし、2台目のドライブはジャリジャリと音をさせて何とか読もうと試み るのだが、認識できないようである。まあ、殆ど使うことはないとは思うのだ が、機会があればこのドライブもオーバーホールに出してみようか。オールド・ カーのオーナーの心境である。
それにしても、懐かしのPascalをちょっといじってみたが、当時の機 械でも、結構応答性が良くて快適だなあという印象だった。AppleのBA SICは、使い易いPETのそれに比べどうも使い難かったので、Apple ではもっぱらUCSD Pascalしか使わなかった。
さて「ゆく年」の話はこれくらいにして、新年号にふさわしく、「くる年」 の話に切り変えることにしよう。現状を元にこうあって欲しいということにつ いて述べることにする。例によって「こんなものが欲しい」と、紙面でとなえ ていると必ず何年か後に実現するからでもある。
NeXTのインタフェースビルダーはグラフィックインタフェースのアプリ ケーションを作成するのに便利なツールだが、用意されたパーツは余り多くな く、やはりNeXT上のハイパーカードが欲しい。どうせUNIXマシーンに 載せるならハイパートーク用のエデイターもユーザの好みでviやEmacs などに設定できると嬉しい。
Macのハイパーカードでは、殆どの場合、そこで扱われるデータは更新さ せる毎にデイスクに書きこまれるようであるが、これは安全という意味では大 変良いのだが、場合によってはスピードをえらく落す原因にもなる。必要があ れば、いちいちデイスクに落さないで、オン・メモリーで処理できるような機 能も付け加えて欲しい。
それから、カード単位のソートは出来ても一つのフィールド内データのソー トが出来ないのも不便である。このようなことは現状のバージョンでも裏技的 テクニックで解決できるのだろうか。
ハイパーカードでサポートしきれないところは、Cなどで書いたアプリケー ションにリンクできることは勿論である。現在のNeXTにはマックペイント に相当するものが無いのが大きな不満だが、これもオリジナルのハイパーカー ドに近いものが載れば解決する。 通常のUNIXのシェルのように、ハイパーカードがUNIXの上にかぶさ るグラフィック・シェルとして使えるようにしたい訳である。
先日UNIX Fairを見て来た。出展されるUNIXマシーンの数が増 えたのには驚かされたが、残念ながらこれと言って感激するものは一つも見当 たらなかった。それにしても、その画面を見るとXウィンドウのオン・パレー ドで、ウィンドウ・システムは当面Xに決まりのようである。 となると、NeXTにもXが載る必要があるかな、などと考えてしまう。N eXTにXが載ったらジョブスが目をむくかも知れないが、いずれ誰かが載せ ることは間違いなかろう。
SunがX対応のウィンドウを出して来たようにNeXTのウィンドウも、 と思うのだがデイスプレイ・ポストスクリプトに対応したNeXTのウィンド ウをXに対応させることの可否については、まだよくわからないでいる。 しかし、NeXTのアプリケーションを支障なく実行できるようになるなら、 そのような汎用の方向を考えてくれると大変有難い。
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