電子カルテ NOA のデモのため、昨日は数年ぶりで Macworldの開 催されているビッグサイトへ足を運びました。初日は Steve Jobs のプレゼンテーションのある日です。今から10年ほど前、サンフラ ンシスコのモスコーンセンターで開催された NeXT Expo では Jobs のプレゼンを聞くため頑張って並び前から3番目で会場に入りまし たが、今ではもうそれほどの元気もありません。
駅を降りビッグサイトへ向かいながらコンピュータ仲間へ携帯で 電話すると、比較的前の方に並んでいるのですぐ来てください、と のこと。近づいてみると物すごい長蛇の列ですが、行列の脇にそっ て前へ行くことができます。携帯で連絡をとりながら歩いて行くと 「あ、大橋先生見えました」という電話の声とともに手を振ってい ます。彼が出展者用カードを余分に持っており、思いがけず一緒に 中へ入ることができました(延々と並んでいた方々、横入りしてし まってご免なさい)。
Jobs のプレゼンは日本で1度、サンフランシスコで2度聞く機会が ありました。いつもと同様、凄い人数を収めたマンモス会場で照明 はぐっと落とされ、スクリーンのアップル・マークだけが浮き上が っていました。
待つこと暫し、やがてあの Steve の「ハイ!」というやや甲高い 特徴的な声とともに、長そでのハイネックにジーンズ姿がスポット ライトに浮かび上がりました。さすがの彼も年齢の変化は覆いよう もありません。そろそろ頭も薄めになりつつあり、腹もやや出てき たことでもあり、ジーンズはよいとしてシャツはもう少し格好良い ものにすればなあ、と余計なことを思ったものでした〔そういう私 も、決して他人のことを言えるわけではありませんが)。
Jobs からの発表で、会場から大きな拍手が起こりました。これは 無線を使ってコンピュータと周辺機器とを結ぶ規格です。周辺機器 は AirMac などの無線 LAN では重すぎるので、Bluetooth はもっと 軽く使えるのが特徴という説明でした。
今回は Bluetooth 対応の imode 携帯電話と SONY の CLIE と M ac とを接続するデモでした。これには前から期待していたところで すが、Apple 社がこんなに早く対応するとは思っていませんでした 。Bluetooth アダプターはチューンガムの箱より小さいもので、US B ポートに差せば使えるということです。小さいのでうっかりする と紛失しそうで心配です。
実際にコネクトされるまでちょっと待たされるようですが、我慢 できないほどはなさそうです。今後これに対応した機器がでてくる と、とても便利な世界になりそうです。医療現場には Bluetooth を使う場面がいろいろありそうですね。
二つ目は最上位液晶デイスプレイ、シネマデイスプレイHD(High Definition)です。23インチのデイスプレイで、解像度は 1920 x 1 200 pixelsということです。「どうだスゲーだろ、Bluetooth とと もに今日発売だぜー」と、Jobs は得意満面でした。 お値段の方もさぞ良さそうなと思っていると、案の定449,800円と グレートなものでした。誕生当時のシネマデイスプレイが同様な価 格だったと思いますから、やむを得ないのでしょう。
ちなみに Bluetooth のアダプターの方は3000円程度のもので、手 軽にお試し戴けそうです。早速 imode をBluetooth 対応のものに 機種交換しなくちゃと思ったものでした。
好調に売れている iMac だが2万円ほど価格を上げなければならな い、理由は液晶などの値上がりで Apple 社だけの話ではない。これ まで注文したものについては従来通り据え置きで、本日分からの値 上がりということです。これがいつまで続くかはわからないが、と Jobs は続けていました。
2万円の値上がりであっても、価格が下がるまでじっと待つ人も少 なくないでしょうから、しばらくは iMac の爆発的な人気に水をさ すことになるかも知れません(その後新聞を読むと、富士通その他の メーカーもパソコンの値上げを発表していました)。 Jobs のプレゼンを終えて、Macworld 会場にはかなり人が入って いましたが、予想ほどすごい混雑ではありませんでした。むしろ最 終日の土曜あたりの方が混むのかも。
会場には PowerMac や PowerBook のほかに、あのユニークな姿の new iMac がふんだんに投入され、自由に操作してみたり、セミナ ーに使われたりしていました。私も初めて iMac の首を動かしてみ るチャンスにありつけました。指一本で軽く動くのですが、意外と しっかりとした信頼感のあるものでした。 いろいろなソフトウエアーなどが展示デモされていましたが、特 に目新しいものは目につきませんでした。むしろ懐かしいメンバー 達と「やあ、やあ」と会えたことの方が楽しかった一日でした。
私は「ながら族」です。書斎で電子カルテ開発中も、よく TV を つけっ放しにしています。コンパイルを仕掛けてちょっと待つ間な ど、つい TV をつけたい衝動にかられ結局そのままつけ放しになっ てしまいます(もちろん作業効率は落ちます)。私は煙草を吸いま せんが、煙草のみもこんな具合でやめられないんだろうなあ、など と思いながら。
もう大分前になりますが、書斎でTVを見るのにチューナー内蔵の NEC 製 CRTを使っていました。これが大変優れもので、通常のTV受 像機の画像より綺麗だったりしました。しかし長い間愛用している うちに駄目になってしまい、その後チューナー内蔵のCRTは作らなく なったようで、やむなくビデオキャプチャーボックスを買ってきて 、通常の CRT に表示させています〔最近またチューナー内蔵の液晶 デイスプレイが出てきたようです)。
しかし、これは通常のTV受像機より大分画像が悪いのです。液晶 TV も大分安くはなってきましたが、まだ画像の質がちょっとねと いうところです。そのキャプチャーボックスもそろそろ寿命が近づ いたのか、時々シャックリのように画面が途切れるようになってき ました。
そんなところへ、Apple 社の Web で CaptyTV というキャプチャ ーボックスを iMac に接続している例が紹介されていました。早速 Web で探し注文してみました。以前求めたボックスは結構な値段し た覚えがありますが、CaptyTV は3万円程度です。
画質は今まで使っていたキャプチャーボックスと比較し格段に良 いということはなさそうですし、現在試している PowerBookG4 のパ フォーマンスをしてもちょっと荷が重いことがあるようで、画面の 動きなどイマイチのことがあります。
しかし、いろいろ便利なところもあります。これは USB 接続です のでノートブックへ出力できるのです。次に HD へ QuickTime デー タとして録画できます。当然のことですが、やたらと録画すると H D があっという間に溢れてしまうので用心は必要ですね。
次にはTVチューナー内蔵のノートブックがあると嬉しいなという のがつきることのない欲望ですが、すでに Windows マシーンではそ のようなものがありますね。いずれノートブック上で通常の TV番 組が DVD 程度の画質で見られるようになると本当に嬉しいです。
今まで e-mail は MacOS X 標準の Mail というアプリケーション で読み書きしていたのですが、ここ一ヶ月ほど ARENA に替えてみま した。ARENA は MacOS X で動くようになりましたが、Classic 環境 のアプリケーションを MacOS X へ移植したいわゆるCarbon と言わ れるものです。 今まで Carbon のアプリケーションはちょっと使ってみるという 程度だったので気にならなかったのですが、メールのように普段使 うようになってみると MacOS X ネイテイブのアプリケーションすな わち Cocoa アプリに比べ、フォントがとても汚く読みづらいことが 歴然としてきました。
とにかく沢山のメールを読みこなすうちに、目がしょぼしょぼし てきてとても疲れるのです。普段使っているそれ以外のアプリは電 子カルテNOAを含め、すべて Cocoa アプリですので、そっちに移る と美しく読みやすいフォントでほっとします。
ARENA ではフォントを選べますので、選択したフォント自体は同 じなのですが、表示の段階でスムージングがかかるかかからないか という表示上の技術的な差と思います。 まだ Classic にしがみついているベンダーやユーザは多いと思い ますが、今年から MacOS X が標準搭載 OS になるにしたがって MacOS X の進んだ技術がようやく一般にも理解され MacOS X ネイテ イブのアプリが増えることを期待しています。
一年ほど前でしたか、必要があって Cocoa で開発できる会社をア ップル社に問い合わせたことがあります。アップル社から教えても らった開発者達のほとんどが NeXT 時代から私のよく知っている顔 見知りだったりして、この世界の狭さを実感したものです。しかし今 年を境にどんどん新しい開発者が Cocoa の世界に参入してくるでし ょう。Carbon と Cocoa のアプリケーションを比較してみれば、 明らかに後者の方が美しくパフォーマンスも良いものが多いはず ですから。
しかし、もっと大きな差のあるところは、先に述べたように開発 環境です。後者でソフトウエアを作った方がずっと効率が良く楽だ からです。これに気がついた開発者が増え、それが水面に投じた波 紋のように広がってゆくことになるのでしょう。
私の電子カルテは MacOS X が生まれる前から、その祖先となる NEXTSTEP, OPENSTEP で育ってきました。この素晴らしい世界に新し い人々がどんどん参入してくるのを喜ぶと同時に、インターネット の世界が一般化するにしたがって汚れてきたように、Cocoa の世界 も俗にまみれてくるであろうことに、一方では期待と不安の混ざっ た複雑な心境ではあります、、、
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